【塩化リチウム】電池業界でのキー物質

1.はじめに

「リチウム」という言葉を聞くと、多くの人がリチウムイオン電池を思い浮かべるかもしれませんが、塩化リチウム(LiCl)も非常に重要な化合物です。この記事では、塩化リチウムの基本情報から、その用途、市場動向、安全性まで詳しく解説します。

2. 塩化リチウム(LiCl)とは?

化学物質としての基本情報は以下の通りです。
・化学式:LiCl
・CAS No.:7447-41-8
・HSコード:2827.39.990
・化審法:(1)-231
・安衛法:公表化学物質
・消防法:非該当
・国連番号:無し
・物理的性質:白色の結晶性固体、潮解性(湿気を吸収して溶ける性質)が高い
・溶解性:水や極性有機溶媒(メタノール、アセトン等)によく溶ける
・炎色反応:赤色を示す

3.製造方法

(1) 塩酸を用いた反応 ← 最も一般的!
・炭酸リチウムまたは水酸化リチウムを塩酸(HCl)と反応させる方法です。
 炭酸リチウムの場合  Li2CO3+2HCl→2LiCl+H2O+CO2
 水酸化リチウムの場合 LiOH+HCl→LiCl+H2O
・生成した塩化リチウム溶液を濾過し不純物を除去します。
 溶液を濃縮した後、結晶化させて塩化リチウムを得ます。

(2) 直接中和法 ← 効率良く工業的に用利用される手法
 塩湖やかん水からリチウムを抽出する際に得られるリチウム塩(主に硫酸リチウムや塩化リチウム)を
 利用して塩化リチウムを製造する方法です。以下のような工程です。
  濃縮:塩湖のかん水からリチウム濃度を高めた溶液を得ます。
  不純物除去:イオン交換法や溶媒抽出法でマグネシウムやナトリウムなどの不純物を除去します。  
  精製と結晶化:塩化リチウム溶液を蒸発させ、純度の高い塩化リチウムの結晶を得ます。

(3) 融解塩法による直接合成 ← 一般的でなく主に研究用途で使用
 金属リチウムやリチウム合金を使用して塩化リチウムを製造する高温プロセス。
 リチウム金属を塩素ガスと直接反応させること塩化リチウムを得られます。
  ※製造時の留意点
   純度の重要性:特に電池や医薬品用途の場合、高純度品が求められます。
          不純物の除去には特別な工程が必要です。
   安全対策  :塩酸を扱うため、腐食防止や作業者の保護に注意が必要です。

4.主な用途

(1) リチウム金属の製造
 塩化リチウムの電気分解によるリチウム金属の製造。リチウム電池や合金製造に不可欠です。
 近年はEV車需要の高まりから需要が大きく変動しております。

(2) 除湿剤
 塩化リチウムの高い吸湿性から、除湿剤として空調や工業用/医療機器の乾燥剤に使用されます。

(3) アルミニウムのはんだ付け(フラックス)
 アルミニウム接合時のフラックスに利用されます。
 高温環境下の金属処理に有用です。

(4) 花火の炎色剤
 赤色の炎色反応を示すため、花火の着色剤に使用されます。

5.塩化リチウムの市場動向

・主にEV車によるリチウム電池需要の増加に伴い、塩化リチウム需要も増加傾向です。
 以下のグラフは2016年から2023年までのEV車生産量とリチウム類全体の生産量のグラフと
 なりますが、非常に相関があるとともに、リチウム類の生産量は大きく伸長しています。

・またその他にも除湿剤やエレクトロニクス産業の発展により、高純度品の需要が増加しています。
・主要生産国は、中国、アメリカ、チリ、オーストラリア等であり、産地で主要製法が異なります。
・価格動向は、大きくは炭酸リチウムの国際価格と連動して変動しますが、Li塩類はそれぞれに
 マーケット感があるため変動時期や変動幅にズレがあります。
 EV(電気自動車)市場は業界的に高単価になりやすい一方で使用量も多く特に影響力が強いです。

6. 安全性と取り扱いの注意点

・人体には有害な化学物質です。
・経口摂取により吐き気・頭痛を引き起こす可能性があります。
・皮膚刺激性もあり、目に炎症を引き起こす可能性があります。
・生殖毒性の懸念もあるようで、取り扱いには注意が必要です。
・保管方法としては、湿気を避け、密閉容器で保管することが望ましいです。
・また、取り扱い時にはゴーグル、手袋着用も推奨されます。

6.今後の展望

・塩化リチウムの生産や需要が、EV車や全固体電池の実用化に左右される可能性が高いです。
 近年見られた、受給バランスの悪化と市況価格の大幅な変動、また、それを好機と見る新規供給者の
 乱立、それに因る市場の混乱が再発することも予想されます。
 実際、EV車の話が本格化する以前の2015年頃は価格もかなり安定していましたが、
 今では価格が何倍にもなっています。金(ゴールド)もビックリの投資先です。
・一方で、PFAS規制のようにリチウム関連化合物にも規制が強化される可能性があります。
・持続可能なリチウム資源の確保という点で、リチウムのリサイクル技術がより進歩する可能性や、
 リチウムに代わるナトリウム電池等の開発も進められています。
・上記のような事項が複雑に絡み合っていくことが予想されますが、
 EV車、電池産業の需要増から今後も需要が伸び続ける可能性が高いです。

今回は塩化リチウムについてまとめましたがいかがでしたでしょうか。
皆さんは、今後の塩化リチウムの可能性についてどう思われますか?
後ほどまた別の記事で、塩化リチウムの供給者や用途詳細について、取り上げるつもりですので、
どうぞよろしくお願い致します。

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